編物は身近にあった【子供の頃】

小さい頃、花子の家には父の妹の叔母1と叔母2がいた。叔母1は結婚前で、編み機を自転車に積んで習いに行っていたような、おぼろげな記憶がある。叔母2に教わったのか、4本針で靴下だか手袋だかを編んだのだったと思う。とにかく、毛糸をほどいて洗って巻くという作業をよくやっていて、その都度花子の両手を貸して、巻くお手伝いをした事だけは鮮明に覚えている。

メリヤス編みとか、ガーター編みと言う言葉を知ったのもその頃だが、なんの事やら、さっぱり解らなかった。

そういえば家で羊を飼っていた事もある。ごく簡単な小屋と柵の中にいて、おとなしい動物だったので、よくさわって遊んだ。薄灰色のくるくるした毛をかき分けると、表面とはかけ離れた、びっくりするほどきれいな毛がびっしりと生えていた。それは真っ白ではなくて、バターの黄色を薄くしたようなクリームっぽい色に見えた。そしてわずかな油脂分を感じた。30代にして<生成り>という言葉を知って、あの色かと思ったのでした。

羊ちゃんは毛を刈り取られて、秋になると毛糸の見本帳が届いて、どの色が良いか母に聞かれ、やがて単色のプレーンなセーターが届けられた。それをお正月に初めて着る、といったシステムだった。残念な事に、暖かかったという記憶はない。

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